ロウ・ファンタジー小説の中でも近年最も人気な作品である「ハリー・ポッター」シリーズ
主人公ハリーの親戚である「ダーズリー家」についての記事。
Who is Uncle Vernon nervous to entertain? #GuessTheScene
Harry: I’ll be in my bedroom, making no noise and pretending that I don’t exist.
Uncle Vernon: pic.twitter.com/PIl8ZEmueo
— Harry Potter Film (@HarryPotterFilm) 2019年1月26日
ファンタジー小説の始まり方として、物語が始まる以前~初期には、主人公は不遇な環境で過ごしており、特別な出会いにより新たな世界に入って行くというのは定番である。
「ハリー・ポッター」もそのような定番の始まり方である。
今回は、主人公ハリーの母方の叔父・叔母であるバーノン・ペチュニア夫妻とその息子ダドリーからなる「ダーズリー家」について注目していきたいと思う。
「ダーズリー家」について
作中において、主人公ハリーの一歳から十七歳までの住所はイギリスの「サレー州 リトルウィンジング プリベット通り 4番地」である。
まずはハリーと彼らの関係を確認していこう。
小説の冒頭にて、ハリーの両親は殺害され、親戚であるダーズリー家に預けられることとなる。ダーズリー一家は魔法使いの家系ではなく、全員が「マグル(非魔法使いの通称)」である。
先ほど「不遇な環境」書いたように、ダーズリー夫妻はハリーを厄介者として扱い、一人息子ダドリーのことを盲目的に溺愛している。
第一巻「賢者の石」においては、ダーズリー家においてハリーには寝床として階段下の物置があてがわれており、ハリーがおかしなこと(無意識に魔法を使うなど)した場合には、外から鍵をかけて監禁し、食事を出さないなどそのほか様々な仕打ちをした。
息子のダドリーがハリーに同情的であるかというとそうではなく、ハリーに対したびたび暴力を振るっていると描かれる。
彼らは序盤において主人公に意地悪する悪役であり、ハリーが新たな世界と出会うときにしっぺ返しを受けることになる。
ハリーが十一歳になる時期に、ダーズリー家の郵便受けに手紙が届く。
ハリーは虐待の一環として、ダーズリー家における雑用をたびたびこなしてきた。
バーノン叔父に命令されて玄関まで手紙を受け取りに行くと、そこでハリーは自分宛てに、しかも「プリベット通り 4番地 階段下の物置」と書かれた手紙が届いているのを確認する。
その手紙はホグワーツ魔法学校からの入学案内だったのだが、ハリーがそれを読む前にバーノン叔父が没収してしまう。
バーノン叔父は、ハリー宛に続々と届くその手紙を読ませまいと日曜大工から一家逃亡生活までするのだが、ハリーの誕生日に、海辺の小屋まで手紙を届けに来たホグワーツの森番・ハグリットにより、その無駄な頑張りは終わることになる。
ハリーをゴトリックの谷からダーズリー一家(マグルの世界)に、空飛ぶバイクに乗り届けたのはハグリッドであり、ハリーをダーズリー一家(マグルの世界)より連れ出したのもハグリッドである。
しかも、どちらもハリーの誕生日に起きた出来事だった。この一致は原作者の何らかの意図があるのであろう(ただの勘繰りです)。
閑話休題、それからもハリーはホグワーツが夏休みの間はダーズリー家に戻ることになる。
わざわざ意地悪な親戚のいる家に戻るのは深い理由・設定が存在するのだが、一巻から七巻をすべて読めば納得できるので、ぜひとも手に取って読んでみてほしい。
ダーズリー家の部屋、間取りなどについて
小説・映画において、ダーズリー家の様子が書かれることが多いため、おおよそであるが、間取りなども推測が可能である。
家は2階建てであり、1階にテレビのある台所、テレビと電気暖炉が設定された居間とダイニングルーム、玄関ホールにガレージ付きの庭がある。
2階につながる階段には物置がついている。2階にはダーズリー夫妻の寝室とダドリーの寝室、ダドリーが物置として使用していた予備の寝室とゲスト用の寝室があることが第一巻~第四巻から読み取れる。
なお、ダドリーの予備の寝室は、「賢者の石」においてハリーの寝室となる。物置から引っ越した理由は、先述したように、バーノン叔父がハリーに入学案内の手紙を読ませないためであるが、その他に、宛名に「階段下の物置」と明記されていることに、叔父が恐怖したことにある。
ここまで、この住所にこの家が実際にあるような書き方をしてきた。
だが、ダーズリー家の住所「サレー州 リトルウィンジング プリベット通り 4番地」は、現実においては存在しない住所である。
サレー州はイギリスの実在する州であるが、「リトルウィンジング プリベット通り 4番地」はこの作品のための架空の住所である。
//ネタバレ注意
なお、「プリペット」の綴りは「privet」であり、これは「セイヨウボタノキ」のことである。
この植物はヨーロッパにおいて、家と家の間に植える垣根としても利用される。
本作の重要な設定として、「ハリーが成人となるまで、ハリーが血のつながった親戚のいるこの家を自分の家と認める限り、ハリーは母親の血によって守護される」というものがある。
この「プリペット」は、ハリーがこの家にいる時は、魔法界と彼を脅かす脅威から隔絶され安全であるということを、暗に示していると読める。
まとめ
今回はハリポタキャラの中では活躍するわけでもないが、主人公に近しい「ダーズリー家」について注目した。
映画によっては、彼らの出番が丸々削られてしまうこともある。
だが、原作の小説では、毎巻ごとの序盤にハリーと彼らの生活が描写される。
原作者からは、小説の冒頭における便利なキャラ達なのかもしれないが、毎巻ごとに彼らについて新しい発見があり、彼らにもストーリーがあるのだと感じられる。
その中でもダドリーはハリー同様に成長しているため、彼の変化ぶりを巻ごとに確認するのも面白いかもしれない。